エアコン分解洗浄
Air conditioner Cleaning

エアコンの分解洗浄

エアコンの内部の環境

家庭などで使用されているエアコンは、内部でファンが回転することで吸い込み口から室内の
空気が入り込みます。
その空気がフィルターを通過することでホコリなどが取り除かれ、熱交換器を通過することで設定した温度になります。そして、吹き出し口から再び室内に戻ります。

冷房時には、熱交換器部分の温度が低いため周りの空気が冷やされ結露ができます。
結露は、ドレンパンで受けて室外に排出されます

冷房稼動時の室内の相対湿度を普通をした場合、吸い込む口付近は常に室内の空気が
入り込んでいくので、室内の空気とほぼ同じ相対湿度
になります。

エアコンの内部である熱交換器の内側では、空気が冷やされることで発生した結露により100%に近い相対湿度となります。

吹き出し口は、エアコン内部の高い相対湿度の影響で高めの相対湿度を保ち続けます。

冷房停止後の室内の空気は、気温の上昇とともに相対湿度は下がります。

吸い込み口付近は、室内からの空気が入り込まなくなるので相対湿度が上昇します。

熱交換器の内側では、結露などの水分が乾燥するまで相対湿度は100%近くを保ち続けます。

吹き出し口付近は、エアコン内部からの空気がなくなるので相対湿度は低下します。


エアコンの内部は、冷房稼働中・停止後ともに相対湿度は100%近くを保たれます。
そして、それは細菌と好湿性カビが育つ環境です。

吸い込み口付近のフィルター部分は冷房停止後、吹き出し口部分は冷房稼働中に相対湿度が高めになります。
それは、中湿性カビや好乾性カビの育つ環境です。

つまり、エアコンには普通に使用するだけでカビが育ってしまう環境にあり、定期的な洗浄が必要となってきます。

エアコンにはカビが発生してしまうことは分かりましたが、カビが発生することでどのような問題があるのでしょうか。

真菌(カビ)による感染症

真菌症とは、真菌(カビ)がヒトや動物の体の障壁を越えて定着することに起因する感染症です。
代表的な真菌症として白癬菌による白癬(水虫、たむし、およびしらくも)やガンジダによるカンジダ症、クリプトコックスによるクリプトコックス症、アスペルギルスによるアスペルギルス症などが知られています。

その中でも、エアコンに関係するものはアスペルギルスによるアスペルギルス症です。
最も一般的な型は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症です。
免疫力が低下している際に起こりやすいことから症状の進行は速く、全身に感染するため症状は多岐に渡ります。治療が遅れた場合は致死性が高くなります。
呼吸器系への感染では、血性痰、喘息、肺炎、副鼻腔炎など起こし、
また、血管内に進入した場合、口蓋または歯肉の潰瘍化、血栓や出血性壊死などを起こします。
皮膚感染は手術創に発生することがほとんどで、急速な組織壊死を起します。
中枢神経系感染は脳膿瘍を起こしますが、これは全身播種性感染の部分症で副鼻腔からの直接感染は少ないです。

エアコンの分解洗浄~Before After~

下画像は、エアコンが分解洗浄前ではどのくらい汚れていて、洗浄後にどのくらいキレイになったかのビフォーアフターです。

エアコンの分解洗浄の頻度

エアコンの分解洗浄の必要性は理解していただけたと思います。
ではその分解洗浄はどのくらいの頻度で行えば良いのでしょうか。

通常、2年に1回分解洗浄を行うと良いとされています。

その根拠として「臭気対策研究協会 臭気の研究30巻pp.268-278(1999)」を引用します。

「2-1 エアコンのカビ汚染現状

エアコン内部がカビで汚染されていても、外側から見えないため気づかれないが、エアコンから吹き出してくる空気を調べるとよくわかる。
表1は、6台のエアコンから吹き出された空気中のカビを調べたものである。
No1~No4は新しいエアコンで、Aは戸建て住宅の和室で2年間使用したエアコン、Bは同住宅の子供部屋で4年間使用したエアコンである。
エアコンAとBは住宅から取り外し実験室に運び、6台とも全く同じ条件で比較した。
エアコンを1m×1m×2mのアクリルの箱に入れ、稼働開始後10分間に吹き出された空気を寒天培地に当て(培地表面で風速2~3m/sec.)、25℃で5日間培養した後のカビのコロニーである。
AとBでは多量の胞子がエアコンから放出され培地上に落ちたことがわかる。
No1~No4のエアコンからは、No3で酵母のコロニーが2個現れただけでカビは採れず、AとBで採れたカビはすべてエアコン内部に付着していたカビであることがわかる。
夏のエアコンから吹き出される涼しい風は、決してクリーンではない。

引用した文献の表1から分かるとおり、2年間使用したエアコンと4年間使用したエアコンのカビの胞子数に大きな差はなく、2年間の使用でカビに汚染されてしまうことが分かります。

よって、エアコンの分解洗浄を2年に1回行う必要があるのです。

おまけ ~電気料金削減~

エアコンの分解洗浄には、感染症を防ぐ以外にもメリットがあります。

それは、電気料金の削減です。ホコリやカビなどによってエアコンの運転効率が下がってしまい、余計な電気代がかかってしまいます。

汚れ具合などによってどのくらい削減できるかはまちまちですが、

東京電力エナジーパートナー「使い方のポイント」

を参考にしてください。